地域の声

山口県下関市

投稿者: 中村謙一

2013-08-18


1.はじめに

 この度、「地域の声」の第1号に、寄稿させて戴くことになりました山口県行政書士会下関支部の中村謙一です。「地域の声」では、地方会員が取り組んでいる業務、単位会及び支部の活動、更には、その地域の名所・旧跡、観光地等も織り混ぜながら、その地域の魅力を発信していきたいと思います。
 そこで、まず、①私が所属しております山口県行政書士会の活動について  次に②下関支部の活動について、③私の日常の業務について、最後に④下関市の名所・旧跡、観光地等について述べさせて戴きたく思います。

2.山口県行政書士会の活動について

 現在、山口県行政書士会の会員数は481名で、山口支部(68名)、岩国支部(79名)、周南支部(103名)、防府支部(40名)、萩支部(21名)、宇部支部(86名)、下関支部(84名)の7支部に分かれて活動しています。
 今年の5月25日の定時総会では、会長選挙・役員改選が行なわれ、新たに選任された会長・役員の下で新体制がスタートしました。山口県行政書士会の目下の課題は、ADRの認証取得で、現在、山口県弁護士会と協議を重ねており、今年度中には認証取得の見込みです。最近では、毎月2回行なわれる業務研修においても、弁護士などを招いて「ペット法務」「敷金返金・原状回復、定期借地・借家権」などADR取得に向けた法的知識の研修が行なわれています。
 また、官民からの業務受託の拡大、会員の知識・能力の向上を図るために、内部に業務推進対策協議会が設置され、OSS(山口県は平成27年度に導入予定)対策のために山口県行政書士自動車業務協議会が設立されました。さらに、今後の相続・遺言のニーズに対応するため、山口県行政書士会相続遺言業務推進協議会が設立されました。私も両協議会に入会して業務の勉強に励んでいます。

3.下関支部の活動について

 下関支部では、7年前から毎月7日に下関市内の公民館で無料相談会を実施しています。午前9時半から午後3時半の6時間行なわれ、毎回15~20名程度の相談者が来られます。相談内容は、遺言・相続が全体の約9割を占め、次に多いものとして不動産関係、契約関係、成年後見、法人関係の順となっています。相談者の年齢は、60代~70代の方がほとんどです。基本的に行政書士2名1組で制限時間なく相談に乗っています。相談者の方が「相談に来てよかったです。」と言って安堵して帰られるのを見ると、大変やりがいを感じます。
 下関支部でも月に1回、業務研修が行なわれ、研修内容は「産業廃棄物収集運搬業許可申請」、「離婚給付契約」、「風俗営業許可申請」など多岐に渡りますが、急速な高齢化を踏まえ、下関市福祉部介護保険課の担当者による「介護保険制度や介護保険で受けられるサービス」についての研修や社会福祉士による「成年後見の現場」についての研修を行なっています。

4.日常業務について

 私は、現在、下関支部登録相談員、山口県行政書士自動車業務協議会会員、山口県行政書士会相続遺言業務推進協議会会員として、各相談会に参加したり、研修会等で忙しく過ごしていますが、ここでは、ある日の私のタイムスケジュールを紹介させて戴きます。

<ある日のタイムスケジュール>
7:00 起床 
8:00 朝食、朝食後メールチェック
9:00 ご依頼を受けた公正証書遺言の原案の作成。
11:00 公証人と今後の打ち合わせ。
12:00 広島県の行政書士から車庫証明の書類を受理。
12:30 昼食
13:00 保管場所現地を確認。書類一式を下関警察署に提出。
17:00 遺言書の文例等をチェックし、遺言書原案を再度確認する。
18:00 趣味の剣道をするために、下関武道館に向かう。
     剣道七段の先生方が数多くおられる中で、練習に励む。先生方の小学生・中学生の指導の手伝いも行なう。
20:30 帰宅、夕食
21:00 遺言・相続について関連書物を読んで勉強。また、司法書士などの関連資格の勉強をする。
24:00 就寝

5.下関市の魅力(名所・旧跡、観光地等)

(1)下関市の特色
 私の住んでいる山口県下関市は、本州の最西端に位置し、関門海峡に架かる関門橋は下関市と北九州市を結び、両市は深く交流しています。また、下関市は中国や朝鮮半島への玄関口としても重要な役割を果たしており、下関と韓国の釜山を結ぶ「関釜フェリー」が毎日運航され、市街には多くの韓国・朝鮮系の住民が暮らしています。
 下関市の人口は27万8,000人(平成の市町村合併で2005年、中核市に指定)、市の木はクスノキ、市の花はハマユウ、市の魚はフクです(下関市ではフグと呼ばず福にあやかって「フク」と呼びます)。日本海と瀬戸内海が交流するため、水産資源も豊富で、フクの水揚げ量が全国の8割を占め、アンコウの水揚げ量も全国一を誇っています。また、同じ海峡都市として発達してきた経緯からトルコのイスタンブールと姉妹都市の関係にあり、積極的に留学生を受け入れるなど交流も深く国際化にも力を入れています。

(2)名所・旧跡
 下関市には名所・旧跡が数多くありますが、今回、①源平合戦で平氏が滅亡し、安徳天皇が入水した壇ノ浦古戦場及び安徳天皇を祀る赤間神宮②明治維新の立役者高杉晋作が挙兵した功山寺をご紹介いたします。

 ①壇ノ浦古戦場と赤間神宮
  現在、関門橋の下近くに「みもすそ川公園」という公園があり、公園前に広がる海は、関門海峡の一番狭まったところで「早靹(はやとも)の瀬戸」といわれ潮の流れが速く、潮流の変化が激しい海の難所です。壇ノ浦古戦場とはその「早靹の瀬戸」一帯を指します。1185年3月24日、両軍約4,000艘が壇ノ浦に終結し、源義経率いる源氏と平宗盛、知盛率いる平氏が雌雄を決しました。東に流れる潮に乗り平氏は当初、優勢でしたが、味方の寝返りと潮流の反転が重なったことと源義経の奇策(平氏の船頭を矢で射貫く作戦)により、平氏は混乱に陥り、次第に追い詰められ、ついに二位の尼(平清盛の妻)は安徳天皇を抱いて壇ノ浦に入水し平氏は滅亡しました。公家の世から武士の世へと歴史が動いた瞬間でした。
  壇ノ浦古戦場の近くにはわずか8歳で入水された安徳天皇を祀る赤間神宮があります。赤間神宮は朱色の鮮やかな竜宮造りで、「海の中にも都はある」という二位の尼の願いを映したものといわれています(境内には小泉八雲の怪談で有名な「耳なし芳一」の芳一堂もあります)。また、毎年、5月のゴールデンウィークには「先帝祭」が行なわれ、芸妓に身を落とした平家の女官たちが安徳帝の命日に帝を偲んで赤間神宮に参拝するという形式で、豪華絢爛に盛大に開催されます。

 ②高杉晋作の挙兵地 国宝功山寺
  1864年、長州藩は、禁門の変、馬関戦争(この時も関門海峡が舞台になりました)に敗れ、幕府による長州討伐計画が進み、存亡の危機にありました。幕府恭順派が主導権を握る長州藩はこれを恐れ、藩主の蟄居謹慎によって幕府に従う姿勢を示しました。この時、敢然と立ち向かったのが高杉晋作で、わずか80名の奇兵隊を結成して功山寺で挙兵し、萩藩新地会所を襲撃してクーデターを成功させ、長州を再び倒幕へと導きました。功山寺の境内には、高杉晋作の回天義挙銅像があり、維新回天の挙兵を示しています。また、高杉晋作は坂本竜馬とも交友が深く、薩長同盟締結に際し、上京する竜馬にピストルを贈ったとされ、平成15年には二人の友情を称えるため市内に「青春交響の塔」が建てられました。

(3)観光地など
 昨今、下関市は観光業に力を入れており、JR下関駅周辺の大型ショッピングセンターから関門海峡沿岸部周辺の開発を進めています。海峡都市下関のシンボルとして建てられた「海峡ゆめタワー(海峡メッセ下関)」もその一つで、日本有数の高さを誇る143mの展望室からは、関門海峡、対岸の北九州まで360度の絶景を見ることができ、多くの観光客が訪れます。
 また、市立しものせき水族館「海響館」は関門海峡の潮流を再現した大水槽や世界中のフクの展示などがあり、アクアシアターではイルカとアシカの競演も行なわれます。さらに、下関唐戸桟橋から船で、5分で北九州の門司港桟橋に渡ることができ、旧門司税関、旧門司三井倶楽部などレトロな雰囲気が楽しめます。

6.おわりに

 この度は、「地域の声」第1号として投稿させて戴き、大変恐縮しておりますが、地方会員が日頃どのような活動をしているのか、単位会・支部の最近の活動を含めてお伝えできればと思い書かせて戴きました。下関市は本州と九州を結ぶ海峡都市として、また中国、韓国等の玄関口として発展し、日々の人、物の交流はとても大きなものがあります。また、名所・旧跡、観光地の多さから国の内外を問わず、年間何百万人もの人達が訪れます。こうした地の利を活かして業務に励み、また、地方のニーズに応えられる行政書士になれるように今後とも努力していきたいと思っています。