特別レポート

座談会開催レポート

投稿者: 有馬 琢哉

2024-04-14


 令和6年3月27日、中央大学駿河台キャンパス第一会議室で、令和5年度に入会された先生方をお招きして、WEB委員会が座談会を開催しました。座長の鈴木一顕先生、桑田優先生の基調トーク、そして参加された木下慎也先生、野崎重喜先生、加藤美樹先生、特別ゲストの吉尾一朗先生そして進行役の竹花隆幸先生と私を交えたフリートークを実施しました。
 以下は当日のレポートです。

1. 基調トーク

(1) 鈴木 一顕 先生 (常任幹事 WEB委員会委員)
 最初に自己紹介、開業に至る経緯をお話された後、議事録作成などの行政書士業務のために必要となるOA機器などの初期装備、また顧客への配慮の見地から望ましい事務用品等をご紹介されました。
 次に、「許認可業務の効率の良い習得方法」として、市販の開業マニュアルの弊害を指摘されつつ、ご経験に基づくお薦めの習得方法をお話されました。これは確実性、迅速性を維持し、段階的に無理なく業務の拡大を図る画期的方法で、まさに目から鱗でした。
 更に、建設業を例に有益な資料を紹介され、不明な点があれば官公庁に躊躇なく問い合わせることの重要性を、行政、行政書士の法的な位置づけからお話されました。
 最後に、「証明書の代理取得のポイント」として、業務の迅速化、円滑化のために実際に事務所で使用されている書式をご提供下さいました。
 有益な情報とともに、行政書士の許認可申請代理人としての地位の確立や、関係団体のマニュアル等の作成に、数多くの中央大学のOBが関わっていることを随所でご紹介され、新規に開業された先生方を精神的な面からも後押しされる、母校中央大学への想いに根差した基調トークでした。


(2) 桑田 優 先生 (常任幹事 WEB委員会委員)
 中央大学多摩キャンパス近隣地域で幼少期を過ごされ、多摩動物公園で遊ばれたことなどのエピソードを交えた自己紹介、また中央大学OBの方のお話がきっかけで行政書士になられたという開業に至る経緯、また本会の故池田成章名誉会長のお勧めで本会に入会されたこと等、中央大学との深い縁を感じさせるお話から始まりました。
 その後、事務所所在地の選定、個人事業者としての資金の支出、そして入管業務に関連した悪質ブローカーからの誘い等について、ご経験をもとに留意すべき点についてお話されました。
 また業種の選択について、特定の、複数の許認可に特化した方が、人脈づくりやその後の業務拡大の見地からも望ましいのではないか、と非常に示唆に富むお話をされました。
 最後に、国の政策である創業支援センターについて、その利用を勧められていました。
 ご自身の長年のキャリアに基づく、他所では聞けない、大変有益な情報を基にした基調トークで、淀みないお話しから、入念にご準備されていらしたことが伺われました。母校中央大学や行政書士の仕事への誇りが伝わる基調トークでした。


2. 参加者自己紹介

木下 慎也 先生
 大学卒業後、地方銀行、事業会社を経て29歳からM&A助言業に20年超携わっております。平成30年、弁護士・会計士・社労士等の友人と一般社団法人事業承継サポート機構を設立し代表理事を務めております。会社や事業の譲渡に悩むオーナー社長に解決の選択肢を提示し支援することで日本経済の一助となることを目標としております。M&A助言業以外では、経営に係るコンサルティング業務、財務諸表の分析及び事業計画作成支援、人員不足の上場会社において経理業務の一部受託を行っております。
 コロナ禍において時間を余すようになったため学び直しの機運にのって、これまで勉強してこなかった法律系の資格を目指そうと思い、行政書士資格を取得しました。
 行政書士業務としては、この4年ほどで両親を亡くしたことの経験を活かして相続遺言業務を、また法人に深く関与するM&A助言業の経験から許認可業務を柱として運営して参りたいと考えております。
事務所URL https://kinoshita-jimusho.com/


加藤 美樹 先生
 中央大学在学中は、故長内了先生の英米法ゼミに所属し、卒業後はIT業界へ進み、定年後、令和4年8月に開業しました。行政書士としては相続、成年後見業務を受任し、また昨年より磯子・金沢支部幹事に就任しています。4月からはITコーディネーターとしても活動予定です。
 保有資格は、①行政書士関係:特定付与、届出済証明書(ピンクカード)、コスモス会員、著作権相談員、②IT関係:PMP(Project Management Professional)、ITC(ITコーディネータ)、③その他:AFP(2級ファイナンシャルプランナー)、2級知的財産管理技能士などです。 所属団体は、横浜商工会議所、米国PMI、PMI日本支部、ITコーディネータ協会、PM学会、日本FP協会、知的財産管理技能士会などです。
 開業3年後の目標として、中小企業経営者へのワンストップサービスを目指してビジネスモデルをどう構築していくか、日々模索中です。 よろしくお願いいたします。


野崎 重喜 先生
 長崎県出身で平成30年より埼玉県上尾市で開業しています。物流会社に長く勤めた関係から行政書士業務も運送業・特車・倉庫業・産廃業などの許認可が中心ですが、周辺業務として自動車(登録封印・回送運行・レンタカー)や農地転用も手掛けております。
 保有資格は、宅建士、運行管理者(貨物/旅客)、衛生管理者、英検(2級)などです。 駅伝を含む陸上競技と野球観戦が趣味で、母校や出身選手を応援しております。
 入会の目的は、各専門分野でご活躍の同窓の皆様の知見に接して、今後に活かして行きたいと考えたからです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
事務所URL http://aoba-gyousei.info


□ 特別ゲスト
吉尾 一朗 先生 (副会長)
奈良県出身、1995年卒業、2008年入会
事務所URL https://www.hakumonkai.org/vip/mercurius


□ ファシリテーター : 進行役
竹花 隆幸 先生 (幹事 WEB委員会委員)
1976年卒、化学系会社勤務 COBOLプログラム、2018年行政書士登録、相続業務


3.  フリートーク
 リラックスした雰囲気の中で、まず、港湾関係のお話しからはじまり、逐条解説港湾法という書籍の紹介、そして宇宙開発やドローン、自動運転系AIなどの技術の発展により、加速度的に社会が変化している現状についてのトークへと続きました。そして「このような社会の状況に鑑みる時、私たち行政書士は社会の進歩にキャッチアップして、その許認可などの法的側面で対応することが求められており、またそれこそ本来法律家としての我々の役割であるはずである。そのためには運輸、建設や入管に関わる法律等様々な法律の知識が必要となるが、このような新しい分野については各自個別に竪穴を掘って対応するのではなく、既存の知識をベースに業務のフレームワークを構築し、それを共有して、有機的な連携のもとに対応する必要があるのではないか」との問題意識を共有しました。
 また、学生時代に地方都市に旅行されたお話から、今の地方都市の現状、ふるさと納税、空き家問題、少子高齢化、外国人の増加等について話が広がりました。「国際相続などの事案も増えており、これに対応するには国際私法だけでなく、入管法や外国の戸籍制度の知識、ケースにより外国語のスキルが必要であるが、これもまた私たち行政書士が積極的に関わることが期待されている分野ではないか」などと意見交換しました。
 最後に、「専門領域での研鑽を深めつつ、他の行政書士、他士業者、各分野の専門家との連携のもと、新しい問題にともに向き合っていくことが、私たち行政書士に求められている。このような連携を深める場として、中央大学OB・OGにより構成される本会は、とても貴重な団体であり、今後も様々な形でこのような機会があることが望ましい」との見解を共有して終了しました。

 中央大学への母校愛を感じ、様々な知見に触れられた大変充実したひと時でした。
 

企画・責任 有馬 琢哉 (WEB委員会委員長)





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